東北大学ヒューマン・テクノロジー研究会

はじめに

科学技術(テクノロジー)は本来、人間(ヒューマン)の幸福のために開発される「手段」であったはずです。しかし現状では、テクノロジーの目的であるヒューマンに対する評価が不十分なままで、テクノロジーの発展がヒューマンを置き去りにしているように思われます。

私たちが考える問題点

“依存”の問題

便利なスマートフォンが典型ですが、安易な検索機能に依存してしまうと、自分の頭でものを考えなくなります。若い学生のあいだで、簡単な漢字も書けない人が増えており、思考能力の減退が危惧されます。スマートフォンを開発した技術者たちは、艱難辛苦の末に完成へと至っています。しかしスマートフォンに依存し、その機能を享受しているだけの人が新しい何かを研究・開発することは不可能でしょう。

“不適応”の問題

デジタル家電製品に顕著ですが、複雑な機能をもった機器を使いこなすには、相当の学習が要求されます。しかし高齢者にとっては習熟が困難で、膨大なマニュアルに振り回されて生活に支障が出ています。

また自動車運転に代表されるように、現代の技術は「視覚」に過剰な負荷がかかる傾向が認められます。加齢に伴って視機能が低下した高齢者、あるいは視覚障害をお持ちの方にとって、暮らしが人間の生理機能を超えた道具で溢れかえっているという切実な問題があります。

私たちは機械ではありません

現代文明における「道具」や住宅・都市構造などの「人工環境」は、脳も身体もスーパーノーマルな「機械的人間」を前提に作られています。ここにテクノロジーとヒューマンのミスマッチが生じていると考えられます。

AIを代表される技術に振り回される(=支配)される世の中は、人間にとってはたして「幸福」なのでしょうか?

当研究会では、テクノロジーとヒューマンの適切な関係や、次世代に残すべき「未来科学技術」のあり方について、医学、工学、産業、経済、哲学、倫理学など多領域の専門家とともに、学問を横断した議論を進めてまいります。皆様のご参加をお待ちしております。

令和2年度研究会開催日程

次回の研究会の開催は、新型コロナ(SARS-CoV-2/COVID-19)流行による緊急事態宣言等のため未定となっております。

研究会開催履歴

令和元年度

第1回東北大学ヒューマンテクノロジー研究会(令和元年12月18日 東北大学未来科学技術共同研究センター)